【打撃特集4】打球速度を決める運動量とは!バットの質量×スイング速度

前回は、打球速度を決める5つの要因を紹介しました。打球速度を決めるのは、

・ボールの反発係数
・投球されたボールの速度
・バットの特性(重さ、長さ、材質)
・スイング速度
・打撃するインパクト位置

の5つでした。

その中で、投球されたボール速度はあまり打球速度に影響しないことがわかりました。今回は、バットの「運動量」の観点から、5つの要因のうちバットの特性とスイング速度にフォーカスしていきます。

打撃における運動量とは

打球速度を考えるうえで欠かせないのが、バットの運動量という観点です。サッカーなどで使われる「○○選手は運動量が豊富だ」のように使われることが多いのですが、本来この運動量は物理量です。運動量は物体の勢いを示し、

運動量 = 質量×速度

で、質量と速度の積となります。単位は[kg・m/s]です。バッティングは、ボールとバットの衝突現象ですから、それぞれの運動量を考える必要があります。
しかし、ボールは、バットの質量の6分の1程度です。今回はボールの量を無視します(運動量保存の法則、力積を含めて後日詳しく解説します!)。バットの運動量は、

バットの運動量 = バットの質量×スイング速度

となります。実際に数字を代入して計算してみます。900グラムのバットを126km/hの速度でスイングしたとすると、

インパクト前のバットの運動量 = 900g(0.9kg)のバット×126km/h(35m/s)のスイング速度

となり、インパクト前のバットの運動量は、31.5 kg・m/sという値になります。

バットの質量を増やすか、スイング速度を高めるか

インパクト前のバットの運動量が大きいほうが、打球速度は高くなります。打球速度を高めるためには、重いバットを速く振れば良いのです。でもそんなに単純なわけにはいかない…。

過去の研究データ(Ginn and Company, 1980)からバットの質量とスイング速度の関係を確認していきましょう【図1、2】。

図1 バットの質量と打球速度の関係

バットの質量が重くなると打球速度は上昇します【図1】。しかし、バットの質量は重くなるに従って打球速度の増加は緩やかになってきます。

これは重いものは加速させにくいためであり(ニュートンの運動第2法則!)、ある重さになると速く振りにくくなってしまうということがわかります。

図2 スイング速度と打球速度の関係

バットの重量の増加は打球速度に効かないだけでなく…

運動量だけ考えれば、重いバットを速く振ることが重要です。しかし、重いバットを使っても運動量を劇的に増やすことができないことはわかりました。さらにそれだけでなく、バット操作の難度も上がります。つまり、バットの芯に当てることさえも難しくなってしまいます。

 

アメリカのリトルリーガーを対象とした調査では、バット質量が重くなるにつれてスイング速度は低下するという結果が出ています。

また、Ned McIntoshは著書の中でも、リトルリーガーが適切な重さよりも重いバットを使用している事を懸念しています。特に少年野球の選手にとっては必ずしも重いバットが最適な選択であるとは言えません。バットコントロールを維持し、スイング速度を高められる重さは、イメージしている重さよりも軽いのかもしれません。

やっぱり、スイング速度を高めることが重要!

打球の速度を高めるうえで最も重要なのは、スイング速度を高めることです。スイング速度は今MLBでも最も注目が集まっている指標のひとつです。MLBの登竜門ともいわれる公開トライアウトshow caseでも、打撃時にセンサーを使用しスイング速度を測定しています。

 

では具体的にスイング速度を高めるには、どうしたら良いのでしょうか。次回は短期的、中期的、長期的の3段階に分けてスイング速度を高めるための方策を紹介します。

BASEBALL GEEKS編集部

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