【打撃特集3】打球速度はこれで決まる!5つの要因

打撃特集第3弾となる今回は、何によって打球速度が決まるのかを紹介したいと思います。打球速度が打撃の成績に重要であることをこれまでは紹介してきましたが、打球速度を決定づける要因は何なのでしょうか。

打球速度を決める5つの要因

打球速度を決める要因は、主に5つあります。

・ボールの反発係数
・投球速度
・バットの形状(重さ、長さ)
・スイング速度
・打撃するインパクト位置

本記事ではまず、ボールに着目し、ボールの反発係数と、投球速度にスポットを当ててみてみます。

要因:ボールの反発係数

「飛ぶボール」、「飛ばないボール」って?

日本の硬式ボールのサイズは、公認野球規則により重量は141.7~148.8g、円周は22.9~23.5cmと定められています。

これら以外にもボールの跳ね返り方にルールが定められていて、反発係数という値がこれにあたります。ボールが壁のようなものに衝突した場合を考えますと、反発係数とは、衝突前の速度と衝突後の速度の比のことを指します。100km/hで壁に衝突したものが、50km/hで跳ね返った場合、反発係数は0.5になります。衝突の前後で速度は低くなりますので、反発係数が1を越えることはありません。

スーパーボールのバウンドの反発係数は1に近く、つきたてのお餅を床に叩きつけた場合の反発係数は0になります。そして、NPBではこの反発係数の値にも規定があります。

以前NPBでも「飛ぶボール」、「飛ばないボール」の騒動がありました。2011年、2012年のシーズンは公表されている基準値(0.4034~0.4234)を下回る反発係数のボールが一部使用されていたのです。 その後、基準内のみの使用に変更したのにも関わらず、NPBはその一連の流れを公表していませんでした。

その騒動の際、以下のようにミズノ社は発表しました。

反発係数が0.001変わることで、飛距離はおよそ20cm変わる(ボールスピード144km/h、バットのスイングスピード126km/h、飛び出し角度27度とした場合)

これは打球速度が増減することによる飛距離の変化を表していますが、以前の基準値の下限の反発係数と上限の反発係数では、飛距離に約4mの差がでることになります。しかし、実際にNPBの総本塁打数をみると、2011年、2012年は極端に本塁打数が減っています。【表1】

表1 NPB年度別総本塁打数

2015年からは、基準値が目標値に変わり、反発係数の上下限はなくなっています。また、MLBでは、反発係数の規定がなく、日本以上にボールのばらつきは大きいようです。日本のボールよりも、ボールの個体差によって打球速度や飛距離は影響を受けるかもしれません。

要因:投球速度

投球速度は飛距離に関係ない?

野球を経験してきたの多くの人は、投球速度が速いと打球速度も速くなると認識しているでしょう。実際に指導や解説の場面においても、「球が速いから当たれば飛ぶ」というニュアンスの言葉をよく耳にします。

でも、研究報告(Sawicki et al.)によると、投球されたボールの速度が1km/h上がることで、飛距離は0.13m伸びることが示されています。

一方で、スイング速度は1km/h上がると1.3m飛距離が伸びます。に比べると、ボール速度が打球飛距離に与える影響は、スイング速度の10分の1しか貢献しません。【表2】

表2 打球飛距離に与える影響

投球速度が上がっても飛距離や打球速度は変わらない!

2016年のMLBで4シームをフェアゾーンに打ち返したすべての打球44239球を分析しました。もし、投球速度が上がるにつれて打球速度が上がったとしたら、【図1】は右上がりの傾向になるはずです。

でも、ランダムにプロットされており、投球速度が上がっても打球飛距離は変わらないことがわかります。

図1 投球速度と打球飛距離の関係

次に、投球速度と打球速度の関係をみてみます。【図2】をみると、投球速度が増加しても打球速度は変わらないことがわかります。やはり投球速度が打球速度に与える影響はほとんどないといえるでしょう。

図2 投球速度と打球速度

要因:ボールの反発係数、投球速度まとめ

打球速度を決める要因は、

・ボールの反発係数
・投球速度
・バットの形状(重さ、長さ)
・スイング速度
・打撃するインパクト位置
 

の5つでした。

 

ボールの反発係数は打球速度に影響を与えますが、打者が操作することはできません。

また、投球速度は打球速度にあまり影響を与えないことがわかりました。次回は「運動量」という聞き慣れない物理量をもとに、打者が考えるべき残りの要因を考えていきます。

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